『Hang Reviewers High』についての情報

一般情報

題名 Hang Reviewers High
著者 ソメル
初版発行2008-11-09
定価 本体500円

入手方法

2008年11月の文学フリマ、およびウェブショップLilmagで販売されたミニコミです。制作冊数は250部。完売しました。在庫はありません。

コメント

2007年に計画され、一年後の2008年に制作・販売されたミニコミです。戸塚泰雄さんにブックデザインをお願いしました。実際に手に取った時に違和感を持つような、ウェブ上での見た目と実物の違いを意識させる面白いデザインです(しかし印刷過程に生まれたミスがありました……編集者のチェックミスです)。

今メディア上で文章を書くとはどういう行為でどういう態度が必要なのかを体現する内容の本です。同時にウェブ時代に「編集」という行為をどのようにして読み手に意識させるかの実験でもありました。書籍化する際に何も考えずに「書き下ろしテキスト」をつけて付加価値を生もうとする態度へのアンチでもあります。読者が本当に読みたいのは、書き下ろしテキストではなく、面白い本のはずです。

本という形を面白くするには「編集」が必要です。「編集」とはなんでしょうか。それはウェブ上のテキストにおいては読む順番、つまり目次だと考えました。この本で編集者が行った「編集」は目次の制作だけです。その順番で読むことによって、ウェブ上でサイトのテキストを読むのとは別の面白さが生まれるはずなのです。その意図が成功したかどうかは現物で確かめてください。

プロローグ(書籍収録)

この本は「Hang Reviewers High」(著者・ソメル)というブログの書籍化である。収録した原稿は誤字脱字の修正と英数字の表記統一以外、一切手を加えておらず、基本はウェブ上のテキストそのままである。この本には2007年までのログから抜粋したが、ブログは2008年現在も更新され続けている。 http://someru.blog74.fc2.com/

もう何年も前から、今この瞬間に起きている状況の変化について、今の言葉で語られない不満があった。空気や立ち位置、距離感ばかりに慎重な、相対化に汚染された他人行儀な言葉が溢れ、一つの理論で鮮やかにすべてを説明できるつもりの、強引な言い換えと断罪が横行している。まるで皆で話し合い一つの結論を目指すことが正しいような、誰が一番客観的であるかを競うような、孤立を怖れた振る舞いばかりだ。

ワタシは今、一人一人の主観だけが美しさを語ることができると思う。ここには徹底して個人的な、対象の姿について思索した言葉がある。それは我々が過去と未来の交点に生きていることを示す強力な批評である。ワタシにとって、この本を編集することが、ゼロ年代に対してできる爆撃だ。


blogdexjp@hotmail.com
最終更新日:2009年2月15日