知人が運営している「名称なんかどもでもいい」というアニメーション関連サイトがあるのですが、その「名称〜」で公開している「ベティ・ブープ」の公開年順の作品リストが、2006年4月に青心社から出た浅尾典彦氏の『アニメ・特撮・SF・映画メディア読本―ジャンルムービーへの招待』(以下『ジャンルムービーへの招待』)という書籍に無断転載されていました。以下に該当ページを引用します。
(浅尾典彦著『アニメ・特撮・SF・映画メディア読本―ジャンルムービーへの招待』p272〜p275より)
次に「名称なんかどもでもいい」の「ベティ・ブープ出演作」のリストを参照して下さい。ウェブ上の記事なので実際のものをチェックするほうが確実です。ただし『ジャンルムービーへの招待』が参照した時点よりも、今は掲載されている作品数が増えているので、より正確には当時のキャッシュデータを見るのがいいと思います(*1)。
(*1)Googleのキャッシュは常に更新されるので、キャッシュサイト「ウェブ魚拓」を利用して保存されている
二つの間には類似点が挙げられます。具体的に見てみましょう。
これらの点だけでは疑問点が沸く人がいると思います。例えば「年月順の作品目録というデータは突き詰めればすべて同じものになるから偶然では?」という意見です。それは正しいです。本当に完全ならばデータは同じになります。しかし「名称〜」が載せていたデータは完全なものではなく、未掲載作品がいくつかありました。不完全なデータと内容がすべて同一になるという事は、普通はなかなかありえないものです。
また、掲載されている邦題の順番が逐一同じです。例えば「ベティの発明博覧会」の場合はその後に「ベティの発明展」「ベティの珍発明」「ベティの大発明」の順番で掲載されていますが、これは「名称〜」の順序に倣ったものと推測できます。「名称〜」を見ずにこの順番に並べる理由が思いつきません。そもそも、実際に「名称〜」の管理人が浅尾典彦氏にメールで問い合わせたところ、「参考にした」との答えが返ってきたそうです。
単なるデータやリストは著作物ではありませんから、今回の件で著作権を行使することはできません。もし当てはまるなら編集著作権になると思いますが、それも実際のところは裁判で争わないと認められるかは判りません。しかし道義的な問題は残ります。
今回の問題点は以下です。
こういったケースの場合、第二刷から訂正文・謝罪文を入れることがありますが、こうした書籍が二刷の増刷はなかなか決まるものではありません。つまり長期のあいだ、公の場で訂正も謝罪もないまま、書籍が流通することになります。購入した読者はこのリストを著者が調べたものだと思い続けます。これではまるで「やったもん勝ち」です。
ワタシはこの件を聞いてインターネット上にあるデータが軽視されていると感じました。インターネットはとても便利ですが、その便利さは他の誰かによって構築されているものです。インターネットは貴方の著作物ではなく、貴方が自由に利用できる無料データベースでもありません。
もちろんネット上のデータの権利をガチガチにかためろと言うつもりはありません(ワタシはもっと自由であるべきだと思います)。今回の場合は、リストを掲載することについて事前に報告をするか、最低でも参考文献リストにサイトURLを載せるかの必要があったのではないかというマナーの話です。
で、これを読んでいる方の考えはいかがでしょう?
これを書いている現在、未だ進展がないようです。青心社側が一度文書を「名称なんかどもでもいい」サイト管理人に送り、それに対し返事を書いて以降、青心社側は何の反応も示しておりません。このまま黙殺でしょうか?
青心社のサイトと著者のサイトに訂正文が書かれました。以下にスクリーンショットを保存しておきます。