映画小話〜シネマ・プラセット伝説

荒戸源次郎が主催していたシネマ・プラセットという映画制作会社が1980年にあって、ドーム型の移動映画館で全国を巡回して上映するという奇抜なシステムで話題になった所ですけど、そこの最初の制作・上映作品が『ツィゴイネルワイゼン』。日活から解雇された鈴木清順が『悲愁物語』を除けばほとんど10年ぶりに撮った作品で、これが自主上映ながら日本アカデミー賞を受賞&キネマ旬報年間ベストテン一位を獲得したことで鈴木の復活が注目されます。

そして勢いに乗ったシネマ・プラセットの第二弾として企画されたのが1981年の『陽炎座』。羽良多平吉が担当したパンフレットは伝説になっていますが、本編の方も物凄くて、安易な大正浪漫に流されない幻想的な映像の数々がひどく印象的な傑作。でも結果的に商業的に失敗して、シネマ・プラセットと鈴木清順は離れていきました。

シネマ・プラセットが起死回生に挑んで作ったのが1982年の遠藤賢司主演のSFミュージカル『ヘリウッド』。日本キチガイ映画ベスト10という企画があれば間違いなくランクインしそうなカルト作品で、当然大コケ。結果シネマ・プラセットは資金繰りに苦しみ、自販機本『HEAVEN』を出していた群雄社と手を組んで日本初の撮り下ろしアダルトビデオ制作会社「VIP」となり、AV制作の道を歩むのでした。

女子便所シリーズで有名だった「VIP」は現在も「ATLAS21」と社名を変えてアダルトDVDなどを作っています。可愛ラムや進藤玲菜のコスプレDVDで抜いてる人達に、その作品が今ある背景に鈴木清順作品の大コケがあったことを知って貰いたい(知ってどうなるわけもない)。ま、日本映画で食べていくのは難しいというオチですかね。


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